酸化防止剤

事実上、すべての高分子材料は酸化反応を起こします。酸化は、高分子のライフサイクルのあらゆる段階、すなわち、材料の製造時や保管時、あるいは加工時や最終使用時に発生する可能性があります。

ポリマーの酸化の代表的な現象は、加工時の粘度の変化、外観、伸び、衝撃強度、引張強度、柔軟性などの機械的特性の低下などがあります。酸化防止剤は、物理的、機械的、光学的特性の喪失につながる分子量の変化を制御することによって、高分子を酸化から保護します。

他の要因の中でも、熱、光、機械的ストレスは、高分子の劣化をもたらします。

酸化防止剤は、その構造によって異なる方法で劣化プロセスを中断させます。大きく分けて、鎖を切断する一次酸化防止剤とヒドロペルオキシドを分解する二次酸化防止剤の2種類があります。

一次酸化防止剤はフリーラジカルと素早く反応するため、「ラジカルスカベンジャー」と呼ばれています。ポリマーの一次酸化防止剤の大半は、ヒンダードフェノール類です。

一次酸化防止剤です：

• Irganox^® 1010
• Irganox^® 1076
• Irganox^® 1098

• Irganox® 1330
• Irganox^® 245
• Irganox^® 1135

一次酸化防止剤には芳香族アミンがあり、主にカーボンブラックi入りゴムや一部のポリウレタン用途で使用されています。Irganox^® 5057は、ポリオールやゴム安定化用の芳香族アミンです。

リン系酸化防止剤やチオエステルなどの二次酸化防止剤は、ヒドロペルオキシドと反応し、非ラジカル生成物を生成します。これらは、一次酸化防止剤との相乗効果で特に有用です。

リン系酸化防止剤は加工時に最も効果を発揮し、ポリマーと一次酸化防止剤の双方を保護します。

チオエステルは、フェノール系酸化防止剤と組み合わせて、長期の熱安定性を高めるのに有効です。Irgafos^® 168、Irgafos^® 126、Irganox^® PS 800およびIrganox^® PS 802は二次酸化防止剤です。

多機能安定剤は、複数の機能が同一分子内で組み合わされています。最も広く使用されている組み合わせは、硫黄置換基を有するヒンダードフェノールまたは銅キレート機能を有するヒンダードフェノール（金属不活性化剤）です。Irganox^® 1035、Irganox^® 565、Irganox^® 1520 L、Irganox^® MD 1024は、多機能添加剤の例です。

酸化防止剤の第三のクラスは、ラジカルスカベンジャーです。ラジカルを捕捉することで、劣化を即座に止めることができます。これらは主に押出加工に使用されます。Irganox^® E 201とIrgastab^® FS 301のブレンドは、このクラスの酸化防止剤に属します。